2025年

2024シーズン、49勝91敗3分、最下位という失意の成績に終わった埼玉西武ライオンズ。そのチームの再建を託されたのが、1995年の入団からライオンズひと筋の西口文也監督だった。
西口監督は、2015シーズン限りで現役を引退後、二軍投手コーチ、一軍投手コーチを歴任。2022シーズンからはファーム監督も務めており、一軍、二軍、三軍とすべてのカテゴリーからチーム状況を把握している。その最大のメリットを武器に、就任直後から昨今のチーム成績や選手層など、投打のバランスを冷静に分析し、「どうやったら勝てるか」を模索した。その結果、掲げたのが「守り勝つ野球」だった。

2024シーズンに10勝を挙げた今井達也、ルーキー武内夏暉の2人を筆頭に経験豊富な高橋光成、隅田知一郎、二桁勝利経験をもつ與座海人、松本航。さらに将来性豊かな渡邉勇太朗、菅井信也など、先発陣の顔ぶれは充実している。だからこそ、西口監督が絶対に譲らずに意思を通したのが平良海馬のクローザーだった。2022シーズンオフに「先発がやりたい」と並々ならぬ強い直談判の末に2023シーズンから先発起用が容認され、転向1年目で11勝をマークした平良を熱心に説得。翻意させることに成功した。

一方、野手は「レギュラーは白紙」と西口監督が就任と同時に明言したことで各ポジション争いが活発に。特に2024シーズンに経験値を積んだ西川愛也、長谷川信哉、滝澤夏央ら伸び盛りの若手選手が定位置奪取に闘志を燃やし奮闘した。また、オープン戦から好アピールを続けたルーキーの渡部聖弥が開幕スタメンを勝ち取るなど、期待を感じさせた。

実際、前半戦は新指揮官の掲げた「守り勝つ野球」が体現されていた。先頭打者に定着した西川が出塁し、滝澤、源田壮亮ら2番打者がつなぎ、3番渡部聖、4番ネビンが還して先制点を奪う。その得点を先発陣が安定した投球で守り、盤石な中継ぎにつなぎ、勝利パターンで勝つという「先行逃げ切り型」をスタイルに、勝ち星を重ねていった。交流戦まではAクラスでの戦いが続いていたことが、何よりの証明だろう。

しかし、交流戦の終盤から失速した。西口監督も「息切れしてしまった」と振り返ったとおり、主力を担っていた選手の大多数がシーズンを通しての一軍経験がなく、けがや不調などが重なった。頼りの投手陣にも疲労は色濃く、さすがに防御率1点台の投球ありきの「守り勝つ」の継続は難しかった。
後半戦に入っても、チーム全体としてなかなか状態が上がらず、最終的に63勝77敗3分、5位という悔しい成績に終わった。

とはいえ、未来へつながる希望も数多くあった。

最大の収穫は若手野手の台頭だ。西川、長谷川、渡部聖の外野手3人が初の規定打席に到達。シーズン通して試合に出る厳しさを経験すると同時に、主力としての自覚を大いに養った。その中で、渡部聖は1年目ながら主にクリンナップを任され、チーム2位の12本塁打、同43打点と欠かせぬ存在となった。西川も134安打、打率2割6分4厘、10本塁打、38打点、出塁率3割1分8厘、盗塁もリーグ3位タイの25個を記録。中堅での守備貢献度も非常に高く、念願の「三井ゴールデン・グラブ賞」も受賞し、走攻守すべてにおいて大躍進を遂げた。
野手ではほかにも、ネビンの存在が大きかった。アベレージに加え、パンチ力を大いに発揮し、119試合で四番打者として起用された。137試合出場、打率2割7分7厘、141安打、21本塁打、63打点はいずれもチームトップの成績だ。また、一塁守備でも堅守が光り、「三井ゴールデン・グラブ賞」と「ベストナイン」を受賞。野球に対する真摯な姿勢や紳士的な人間性など、周囲へもたらす好影響も大きかった。
滝澤も存在価値を高めた。打撃ではチーム打撃や粘り強さを、守備では二塁、遊撃で持ち味を大いに発揮。確かな技術とスピード感あるプレーで投手を大いに助けた。「守り勝つ野球」の中で、なくてはならない存在の一人だった。

投手陣では、2024シーズンに引き続き今井、隅田の活躍が強く光った。主力としての自覚もより一層高まり、それぞれ登板する試合への責任感が投球に現れていた。
今井が最も圧巻の投球を披露したのは6月17日の横浜DeNA戦だ。9回2安打、無四死球、無失点の完封勝利。さらに松坂大輔氏の球団記録1試合16奪三振を更新する、自己最多の1試合17奪三振という驚異的な内容で魅了してみせた。最終的に今井は3年連続となる10勝をマークし、5完投3完封、3無四球、防御率1.92と自己最高成績で実力を証明。オフにはポスティング・システムを利用してのメジャーリーグベースボール(MLB)挑戦を容認され、ヒューストン・アストロズへの移籍が決まった。
隅田も成長を証明した。2023シーズン、2024シーズンと2年連続での9勝止まりで、なかなか二桁勝利の壁を越えられなかったが、2025シーズンについに突破。エースの今井がチームを去ることが決まり、2026シーズンからの新エース候補として大きな期待がかかる。
若手では、渡邉が初完投・初完封をマダックスで飾り23試合23先発7勝、菅井信也が11試合11先発5勝と、それぞれ自己最高成績を記録し、実績を作った。
そして、チームにとって非常に大きかったのが高橋の復調だ。2024シーズンは0勝という大不振を経験したが、苦境を乗り越え、チームに8勝をもたらした。オフに今井とともにポスティング・システムでのMLB挑戦が容認されたが、今回は見送ることが決まった。ライオンズ戦士として来季のより一層の活躍が期待される。

中継ぎでは、西口監督が信念を貫いた通り「守護神・平良」の存在が大きかった。5月20日楽天イーグルス戦から7月29日オリックス戦まで18試合連続無失点など、シーズン通して安定した投球を続け31セーブを挙げると、最多セーブ投手のタイトルを獲得した。
甲斐野央も47試合に登板し33ホールド、防御率2.47と自己最高ともいえる成績でチームに大きく貢献。助っ人のトレイ・ウィンゲンターも一度の離脱もなく、主にセットアッパーとして49試合登板31ホールド、防御率1.74と勝利を大きく支えた。
目覚ましかったのが山田陽翔の台頭だった。高卒3年目の今季4月3日の楽天戦で一軍デビューを果たすと、そのデビュー戦から15試合連続無失点を記録するなど一躍存在感を高めた。安定した投球で首脳陣の信頼を得て、勝敗を分ける大事な場面や勝利シチュエーションでの起用も増え、シーズン通してフル稼働。49試合登板、3勝3敗17ホールド、防御率2.08と躍進を遂げた。
インパクトを残したのは羽田慎之介だろう。7月14日の日本ハムファイターズ戦にて、NPB公式戦で左腕では史上最速となる160キロをマークした。
また、新加入の黒木優太、中村祐太など中堅投手の貢献度も非常に大きい。その経験値の豊富さで若手投手のよきアドバイザーにもなっており、グラウンド内外でブルペン陣を牽引した。

「チーム再建中」という観点では、他にも何人もの選手が「初」を自らの球史に刻んだ。ルーキーではドラフト1位の齋藤大翔、育成2位加入の佐藤太陽、プロ3年目の古川雄大、日隈モンテルがそれぞれデビューを果たしプロ初安打を記録した。投手では高卒新人の篠原響、4年目の黒田将矢がプロ初マウンドを経験した。一軍レベルでの課題と収穫を得た中で、今後のどのような糧としていくのか。楽しみだ。

2025シーズンの節目の記録としては、栗山巧が4月27日オリックス戦で市場64人目となる通算3000塁打を達成した。栗山は今オフ、自らの口でプロ25年目となる2026シーズンを締めくくりの年とする発表した。ライオンズひと筋のミスター・レオが、そのプロ野球人生の集大成をどのように締めくくるのか。一挙手一投足のすべてが必見となる。

戦績としては厳しい結果となったが、就任1年目のシーズンを終えた西口監督は「守備に関しては、ある程度ベースはできたと思う」と手応えも口にしている。一方で、「守るだけではダメ。打って、点を取らなければ勝てない」と、完全守備型からの脱却の必要性も示唆した。2026年、築いた守備力をベースに、攻撃力向上を重視していくことでどんなチームが作られていくのか。その戦いぶりに大いに期待したい。

スローガン

ALL ONE

取得タイトル

ベストナイン賞

最多セーブ投手賞

三井ゴールデン・グラブ賞

一塁手部門
タイラー・ネビン
外野手部門
西川 愛也

大樹生命月間MVP賞

主力選手成績

投手

選手名 防御率 試合 セーブ ホールド 完投 完封 投球回 失点
高橋光成 3.04 24 8 9 0 0 0 0 148 56
隅田知一郎 2.59 23 10 10 0 0 3 1 159.2 47
甲斐野央 2.47 47 2 3 0 33 0 0 43.2 13
今井達也 1.92 24 10 5 0 0 5 3 163.2 38
ウィンゲンター 1.74 49 1 4 0 31 0 0 46.2 11
平良海馬 1.71 54 4 2 31 8 0 0 52.2 12

打者

選手名 打率 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁
渡部聖弥 0.259 425 42 110 16 3 12 43 2
ネビン 0.277 509 51 141 24 0 21 63 2
西川愛也 0.264 507 64 134 26 3 10 38 25
長谷川信哉 0.225 400 42 90 16 3 6 36 9

順位

順位 チーム
優勝 福岡ソフトバンク 143 87 52 4 .626 -
2位 北海道日本ハム 143 83 57 3 .593 4.5
3位 オリックス 143 74 66 3 .529 13.5
4位 楽天 143 67 74 2 .475 21.0
5位 埼玉西武 143 63 77 3 .450 24.5
6位 千葉ロッテ 143 56 84 3 .400 31.5

ユニフォーム

ライオンズ75周年ユニフォーム

ライオンズ75周年ユニフォーム 見本画像

大切に受け継がれてきた歴代のユニフォームに新たなデザインを加え、伝統と革新を表現した限定ユニフォーム。
左袖には、戦う獅子の姿と75を融合したロゴをあしらい、胸元の『Lions』は、80~90年代の黄金期の筆記体をベースに、現代を駆け抜けるスピード感を表現した流麗なデザインに。
襟元には黄金期を彷彿とさせるライオンズブルーとグリーン、レッドの3色のライン、パンツにはレジェンドブルーも加えた4色のラインを入れ、ライオンズが積み重ねてきた時代の流れを留めることなく、新たな時代の風を吹き込んだユニフォームとなっている。

ライオンズサマーブルーユニフォーム

ライオンズサマーブルーユニフォーム 見本画像

ベースカラーには、近年10代から30代を中心に支持を集めているグレイッシュなトーンの中でも、ライオンズのキーカラーであるブルーを基調とした色合いを採用。
夏を感じさせる爽やかなブルーのユニフォームで球場を青く染め、グラウンドで戦う選手とスタンドで応援するファンの皆さまの一体感をより一層高められるようにデザイン。