2021年

辻体制5年目。優勝を逃した悔しさを胸に、王座奪還に燃えるライオンズだったが、開幕直後から思いもよらぬアクシデントの連続に見舞われる、波乱のシーズンとなってしまった。
7年目の高橋光成が初の開幕投手を務め、堂々たる投球で見事に勝利。幸先の良いスタートを切った。しかし、開幕5試合目の3月31日に主砲の山川穂高、栗山巧がそれぞれ故障のため戦列を離れてしまう。その後さらに外崎修汰、山野辺翔、源田壮亮が続々と戦線を離脱。重ねて、若林楽人が全治9ヶ月の大怪我と、主力に故障者が相次いだ。なかでも、若林はルーキーながら、チームのテーマともいえる『一番打者の固定』を解決する逸材として定位置を掴みかけていただけに、今季絶望のニュースは本人にとっても、チームにとっても痛恨の極みだった。

一方で、『ピンチはチャンス』の言葉通り、離脱したレギュラー陣に代わり、これまで出場機会を得られなかった呉念庭、山田遥楓、愛斗、岸潤一郎、川越誠司ら若獅子たちが次々と持てる実力を発揮した。特に呉は、内野の全ポジションを守れる万能さに加え、一時期得点圏打率4割0分3厘を記録し、勝負強さでも猛アピール。後半戦からは外野で起用されることもあったほど欠かせぬ存在となり、チームトップの130試合に出場、自身初の規定打席にも到達した。
ただ、そうした若い選手たちそれぞれが、一軍の試合に続ける喜びと同時に、そのなかで結果を残し続ける難しさを痛感したこともまた事実である。今季の収穫と課題を2022シーズン以降につなげ、さらなる飛躍成長へとつなげたい。

投手では、高橋光成、松本航、今井達也という3人の先発主軸投手がそれぞれ自己最多勝利数を記録。苦しみながらも着実なる成長を示した。また、3年目の渡邉勇太朗が後半戦から先発ローテーションに加わり4勝を挙げたことも、チームにとって大きな収穫となった。
厳しい戦いが続いた中で、圧巻のピッチングで盛り上げてくれたのが中継ぎの平良海馬、水上由伸だった。守護神を任された平良は、圧倒的な安定感で開幕から39試合連続無失点の日本プロ野球記録を樹立。一方の水上は、この年に育成契約で入団し5月13日に支配下登録されたばかりにもかかわらず、6月11日のデビュー戦から17試合連続無失点のパ・リーグ記録を更新するという偉業を成し遂げて見せた。

記録でいえば、9月4日に栗山巧が通算2000本安打を達成した。ライオンズ一筋20年の生え抜き選手の達成は球団史上初の快挙となるだけに、チームメイトやファンはもちろん、西武グループ、ホームタウン、球団関係者など、本当に多くの人が祝福した。達成後、栗山は「これから、ファンの皆さんにもっと大きな期待をしてもらえる、そして、その期待に応えていける選手になりたい」と、さらなる活躍を誓った。

もうひとり、源田壮亮が自身初タイトルとなる盗塁王に輝いたことも明るい話題だった。4年連続で受賞したゴールデングラブ賞とあわせ、守備面、走塁面ともに球界トップクラスの選手であることが改めて証明されたと言えよう。

そして、2021年で最も大きな話題となったのが、松坂大輔の引退だろう。1999年に西武ライオンズでプロ野球キャリアをスタートさせ、ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・メッツ(ともにMLB)、福岡ソフトバンクホークス、中日ドラゴンズを渡り歩き、2020年再びライオンズのユニフォームに袖を通した。右腕の状態が悪化し、残念ながら戦力として一軍昇格を果たす日は訪れなかったが、10月19日の日本ハム戦で背番号『18』を着用し、“引退登板”として最後の公式戦先発マウンドに上がった。本来であれば、ボールを投げられる状態ではなかったにもかかわらず、「最後に僕の投げる姿を見たいと言ってくださる人がいるので」と、最後までファンの期待に応える姿勢を貫いた松坂。「僕の現役時代の原動力は、応援していただいているかたに喜んでもらいたいという思いでした。僕が投げてきたことで、少しでもファンのかたが喜んでくれたり勇気やパワーを送ることができていたのなら、こんな姿になっても、まだまだ投げ続けたいと思いながらやってきて本当によかったと思います」。そう感謝を述べると、そっと手を置き、メットライフドームのマウンドと23年間の現役生活に別れを告げた。
その松坂は、ライオンズの後輩たちにも金言を残した。「選手の時間は無限ではありません。悔いの残らないように日々を過ごしてください。もし努力が結果に結びつかなかったとしても、一生懸命考え、実践したことは、無駄にはなりません」。

2021年、ライオンズの努力は結果に結びつかず、42年ぶりの最下位という苦杯を喫することとなった。それでも、良かったことも苦しかったことも、経験した全ての要素が貴重な財産であり成長の糧となることは間違いない。
キャプテンの源田壮亮は、「何よりも悔しいし、情けないなと思っている」と、チーム全員の気持ちを代弁し、続けた。「来年は一番下からなので、全部が“挑戦”になると思っています。辻発彦監督も『あとは上がるだけだ』とおっしゃっていました。本当にその通りだと思うので、チームみんなでその気持ちをもって戦っていきたい」。
どん底を味わい、意地とプライドをかけて汚名返上に燃える選手たちの来季の奮闘が楽しみだ。

(上岡 真里江)

スローガン

BREAK IT

取得タイトル

最多盗塁者賞

ベストナイン賞

捕手部門

森 友哉

遊撃手部門

源田 壮亮

ゴールデン・グラブ賞

遊撃手部門

源田 壮亮

功労賞

主力選手成績

投手

選手名 防御率 試合 セーブ ホールド 完投 完封 投球回 失点
今井 達也 3.3 25 8 8 0 0 3 1 158.1 66
高橋 光成 3.78 27 11 9 0 0 0 0 173.2 81
松本 航 3.79 28 10 8 0 0 1 1 149.2 63
平良 海馬 0.9 62 3 4 20 21 0 0 60 6
増田 達至 4.99 33 0 3 8 9 0 0 30.2 17

打者

選手名 打率 試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁
森 友哉 0.309 125 431 70 133 32 2 11 41 5
中村 剛也 0.284 123 430 50 122 13 0 18 74 0
源田 壮亮 0.272 119 464 60 126 15 7 2 29 24
栗山 巧 0.251 117 387 33 97 15 0 4 43 1
呉 念庭 0.238 130 425 43 101 17 0 10 48 3

順位

順位 チーム
優勝 オリックス 143 70 55 18 0.56 -
2位 千葉ロッテ 143 67 57 19 0.54 2.5
3位 楽天 143 66 62 15 0.516 3
4位 福岡ソフトバンク 143 60 62 21 0.492 3
5位 北海道日本ハム 143 55 68 20 0.447 5.5
6位 埼玉西武 143 55 70 18 0.44 1

ユニフォーム

彩虹(さいこう)ユニフォーム

彩虹(さいこう)ユニフォーム

これまでのライオンズのユニフォーム史において類を見ない派手なデザインとカラーリングの彩虹ユニフォーム。「彩り美しい虹のように、選手それぞれの特徴や個性(カラー)を生かすことで“最高”の結果を出し、彩の国(埼玉)で再び王者に返り咲く」ことへの想いと決意を込めている。

ライオンズ70周年ユニフォーム

ライオンズ70周年ユニフォーム

ファンの皆さまに愛された黄金期を彷彿とさせる胸ロゴを採用し、西鉄・太平洋・クラウンライター・西武・埼玉西武の各時代を象徴するカラーを配し、伝統と革新が共鳴する、新たな黄金期の始まりを表現したデザインのユニフォーム。

オレンジリボン運動デーオリジナルキャップ・ヘルメット

ここに画像が入ります
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L-FRIENDS活動の一つの柱である「こども支援」の基本理念である”青少年の健全育成”の一環として、こども虐待防止・オレンジリボン運動に賛同し2019年より『SAVE THE HOPE ライオンズオレンジリボン運動デー』を開催。
監督、コーチ、選手がオレンジリボンのロゴ入りオリジナルキャップ、ヘルメットを着用して試合を行った。

SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAYオリジナルキャップ

SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAYオリジナルキャップ

2020シーズンより立ち上げた「SAVE THE EARTH Lions GREEN UP!プロジェクト」の一環として「SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAY」を開催し、監督・コーチ・選手がオリジナルキャップを1日限定で着用。

SAVE LIONS DAYオリジナルキャップ

SAVE LIONS DAYオリジナルキャップ

2019シーズンより、チームのシンボルである“ライオン”を絶滅の危機(※1)から救う保全活動であるSAVE LIONS プロジェクトを実施。 活動3年目である今年も『SAVE LIONS DAY』を開催し、当日は本プロジェクトのロゴ入り「オリジナルキャップ」を着用して試合を行った。