2020年

『ライオンズ』をチーム名にして70周年を迎えた2020年は、歴史的にも忘れ難きシーズンとなった。
1月ごろから諸外国より徐々に広がりを見せていた新型コロナウイルス感染症が、オープン戦の頃からいよいよ日本でも本格的に猛威を振るい、3月20日に予定されていたペナントレース開幕の延期が決定。社会的にも、非常事態宣言が埼玉県でも発令される未曾有の状況の中、外出自粛など生活にもさまざまな規制がかかり、突如、今まで当たり前にあった日常が失われた。
「本当に開幕できるのだろうか」「この状況で、野球などやっていていいのだろうか」…
選手も野球関係者も、そしてファンも、皆がそれぞれ、いろいろな葛藤を胸に抱いたであろう。だが、だからこそ、改めて“野球”という存在の大きさを再認識することとなったに違いない。
6月19日、プロ野球を愛する人々の協力と尽力によってメットライフドームで迎えられた無観客での開幕戦は、後世に語り継がれるほど格別な一戦となった。

シーズン通しては、開幕から厳しい戦いが続いた。
2018年、2019年と、12球団屈指ともいえる強力打線を武器にパ・リーグ優勝。3連覇、そして今年こそ日本一を成し遂げるべく意気込んでスタートしたが、昨季の本塁打王・山川穂高、首位打者・森友哉、打点王・中村剛也ら得点の中心が揃って低迷するという想定外の状況に陥ってしまう。今か今かと復調が待たれたが、結局、シーズン終了まで完全には状態が戻ることはなかった。彼らの悔しさは相当だろう。来季のリベンジに大いに注目したい。

スラッガーたちが不振に悩む中、圧倒的な存在感を示したのが栗山巧だった。開幕戦こそ無安打に終わったが、その後の2試合でいずれも猛打賞。幸先の良いスタートを切った。勢いに乗り、その後もコンスタントに安打を積み重ねていくと、8月からはクリンナップの一角を担うことに。さらに、10月22日からは10年ぶりに四番に座り、最高2位まで登り詰めた終盤の猛追撃の立役者となった。成績自体ももちろんだが、主力を担いつつある中堅選手はじめチーム全体が苦しんでいる中で、一人淡々と日頃の取り組みを結実させ、実力を発揮する能力、勝負強さはさすが熟練選手。辻発彦監督も、「今季の3位は、栗山の活躍なしにはあり得なかった」と惜しみない賛辞を送った。
個人成績面でも、今季101安打を放ったことで、通算安打は1926本となった。2000本の大記録達成まで74本。本人にとっても、球団、ファンにとっても、来季の大きな目玉となることは間違いない。

また、チームが最も苦しんだ8月に破竹の勢いで状態を上げたエルネスト・メヒア、コーリー・スパンジェンバーグの両外国籍選手の存在も欠かせなかった。連日にわたる2人の助っ人の活躍に、チームもファンも大いに盛り上がった。

明るい話題が多かったのは投手陣だ。特に中継ぎ投手の台頭には目を見張るものがあった。最たるは、シーズン通してセットアッパーに君臨した平良海馬だろう。最速160キロを記録した豪速球を武器に防御率1.87と抜群の安定感を誇り、新人王を獲得した。また、森脇亮介のブレイクもチームにとって非常に大きかった。一歩一歩結果を残し、着々と信頼を勝ち取りながら、正式に勝ちパターンの一角へ昇格。防御率1.35という圧巻の数字で完全に自らの居場所を確立した。森脇、平良、増田達至とつなぐ『勝利の方程式』はまさに盤石を誇った。ルーキーながら49試合に登板し経験値を積んだ宮川哲の今後も楽しみだ。

新人といえば、浜屋将太の後半戦の活躍も印象的だった。リリーフでスタートしたが、9月からは先発へと配置転換し、3勝をマーク。9月23日北海道日本ハム戦では、同じく新人捕手・柘植世那とのバッテリーでマウンドに立ち、本拠地を所沢に移し“西武”と称してから通算3000勝目を飾った。球団の今後を背負っていくであろうルーキーバッテリーによる節目の勝利は、未来に大きな希望を抱かせてくれた。
もう1つ、節目の勝利となったのは10月27日楽天戦。辻発彦監督が就任4年目で通算300勝をマークした。2017年に就任以来、常にチームをAクラスに導いてきた手腕を象徴するような、球団史上二番目のスピード達成である。

9月8日オリックス戦で見せた、高橋光成の8回までノーヒットノーラン投球(最終的には1安打完封勝利)、9月2日千葉ロッテ戦での内海哲也投手のライオンズ初勝利など、まだまだ忘れ難き、目も心も奪われたシーンや試合はいくつもあった。

それでもやはり、最後にたどり着くのは3連覇を逃した悔しさだ。3年ぶりに味わう無冠のオフシーズン、選手たちが穏やかであるわけがない。人一倍の“負けず嫌い”の集団だからである。
今年、初めて観客が一人もいない中での公式戦を経験した。虚しさを感じる一方で、選手も監督・コーチも皆、ファンの声援、拍手の1つ1つに自分がどれだけ励まされ、モチベーションを上げてもらっていたのかを痛感する機会ともなった。
来年は、球団が掲げる『ボールパーク化計画』の完成予定年となっている。新しく完成したスタンドが超満員に膨れ上がり、その大歓声の中で、今年の悔しさをバネに雪辱に燃えるライオンズの猛者たちがどのような戦いを見せてくれるのか。松坂大輔も、必ずやマウンドに立ち、まだファンに直接伝えられていない「ただいま」の声を聞かせてくれるはずだ。

2021年も、この魅力的なチームから目が離せそうにない。

(上岡 真里江)

スローガン

Leolution!

取得タイトル

最多セーブ賞

最優秀新人賞

スカパー!サヨナラ賞 8月度

ベストナイン賞

遊撃手部門

源田 壮亮

指名打者部門

栗山 巧

ゴールデン・グラブ賞

二塁手部門

外崎 修汰

遊撃手部門

源田 壮亮

主力選手成績

投手

選手名 防御率 試合 セーブ ホールド 完投 完封 投球回 奪三振 失点
高橋 光成 3.74 20 8 8 0 0 1 1 120 1/3 100 51
平良 海馬 1.87 54 1 0 1 33 0 0 53 62 11
リード・ギャレット 3.10 49 3 2 0 16 0 0 49 1/3 45 20
宮川 哲 3.83 49 2 1 0 13 0 0 44 2/3 45 21
増田 達至 2.02 48 5 0 33 1 0 0 49 42 11
森脇 亮介 1.35 47 7 1 1 16 0 0 46 2/3 41 8
平井 克典 4.18 41 5 5 0 7 0 0 60 1/3 53 35

打者

選手名 打率 試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁
栗山 巧 0.272 111 372 37 101 22 0 12 67 0
源田 壮亮 0.27 120 455 67 123 14 5 1 21 18
コーリー・スパンジェンバーグ 0.268 111 407 51 109 26 8 15 57 12
森 友哉 0.251 104 358 46 90 15 2 9 38 4
外崎 修汰 0.247 120 433 62 107 18 2 8 43 21
山川 穂高 0.205 102 322 47 66 7 0 24 73 0

順位

順位 チーム
優勝 福岡ソフトバンク 120 73 42 5 0.635 -
2位 千葉ロッテ 120 60 57 3 0.513 14
3位 埼玉西武 120 58 58 4 0.500 1.5
4位 楽天 120 55 57 8 0.491 1
5位 北海道日本ハム 120 53 62 5 0.461 3.5
6位 オリックス 120 45 68 7 0.398 7

ユニフォーム

サードユニフォーム

ライオンズ70周年ユニフォーム

球団創立 70 年を迎え、伝説と栄光、そして悲願のリーグ制覇が融合した時代(カラー)を身にまと い、新たなる戦いへと挑むユニフォーム。
キャップには歴代のライオンズを象徴するブラック、ブルー、レジェンドブルーの三色が彩られている。また、ライオンズの栄光のあかしとして日本一の回数を表す13個の星が添えられている。
ユニフォームカラーはレジェンドブルーを基調利、両肩には西鉄ライオンズのブラック、西武ライオンズのブルーがそれぞれグラデーションで表現されている。襟元と袖もとには3色のトリコロールがあしらわれている。2019年から着用。

ライオンズ70周年ユニフォーム

ライオンズ70周年ユニフォーム

ファンの皆さまに愛された黄金期を彷彿とさせる胸ロゴを採用し、西鉄・太平洋・クラウンライター・西武・埼玉西武の各時代を象徴するカラーを配し、伝統と革新が共鳴する、新たな黄金期の始まりを表現したデザインのユニフォームです。

オレンジリボン運動デー限定ユニフォーム・キャップ

オレンジリボン運動デー限定ユニフォーム オレンジリボン運動デー限定キャップ

昨年に引き続き「SAVE THE HOPE ライオンズオレンジリボン運動」デーを開催し、監督・コーチ・選手がオレンジリボンのロゴ入りオリジナルキャップ、ユニフォームを着用して試合を行い、「こども虐待のない社会の実現」を目指す市民運動であるオレンジリボン運動の周知・啓発を行いました。

SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAYオリジナルキャップ

SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAYオリジナルキャップ

2020シーズンより立ち上げた「SAVE THE EARTH Lions GREEN UP!プロジェクト」の一環として「SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAY」を開催し、監督・コーチ・選手がオリジナルキャップを1日限定で着用しました。