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2023/12/26 (火)
チーム

【新入団選手スカウトに聞いた!】悩み、考えた。それでも野球を、諦められない──。メジャーからの指名漏れを経験し、カナダから徳島、そして縁ある埼玉へ。“最高の恩返し”を、他でもないプレーで証明する。

11月26日に会見を終えた新入団選手たち。来季からライオンズの一員になる彼らのことをファンの皆さまにより知っていただくために、今年も昨年に引き続き担当スカウトインタビューを実施!
第12弾はシンクレア投手!担当である鈴木スカウトに、直接お話をお伺いしました!

(編集協力:週刊ベースボール)

高い身体能力と、それに頼らない投球は抜群の安定感。球界でも類を見ない独特な球筋で、躍動する。

シンクレア投手

打席で対峙する打者は面食らうだろう。身長193センチの長身から手足が長い体格を生かした独特の投法。インステップで投げ込むため、左打者は恐怖心を感じて腰が引ける。シンクレア投手はカナダから「NPBでプレーしたい」という夢を叶えるため、今年5月に四国アイランドリーグplus・徳島に入団。わずか半年後、その目標にたどり着いた。鈴木敬洋スカウトは「支配下で指名されても不思議ではない投手です。育成で獲得できたことは大きい。2001年生まれの大卒1年目でまだまだ若いし、伸びしろが十分にあります。ライオンズで鍛え込んで1ランク、2ランク上の投手を目指してほしいですね」と声を弾ませる。

本拠地を埼玉に置くライオンズとは不思議な縁で結ばれている。カナダ人の父親と日本人の母親を持つシンクレア投手は埼玉県吉川市で生まれ、生後間もなくカナダへ、小学2年のときに吉川市で1年間だけ暮らし、このときに少年野球チームで野球を始めた。カナダに戻ったあとは地元のリトルリーグでプレーし、中学時にカナダ代表でリトルリーグ世界選手権に出場。アメリカのメアリー大に進学後は将来を嘱望される左腕としてメジャー4球団のスカウトが視察に訪れたが、ドラフトで指名漏れに。野球を続けるか迷ったが夢をあきらめきれず、徳島にシーズン途中入団した。

公式戦デビューを飾った6月に投球を初めて見た鈴木スカウトは、「日本人にはなかなかない投げ方。面白い投手だなと思いました。インステップがすごいんですが四球で自滅するタイプではなく、コントロールがまとまっている。直球はマッスラ系で少しスライドする。シュート気味に食い込むツーシーム、2種類のスライダーが独特の軌道で打ちにくい。直球がすごく速いわけではないですけど、思いっきり腕を振ってタイミングをずらされる感覚になる。球の回転が独特なので打者は芯を外されて内野ゴロが多い。個性的な投手だなと感じましたね」と振り返る。後期は11試合登板で1勝0敗、27イニングを投げて防御率0.67。デビュー当時は無名だった「逆輸入左腕」は登板を重ねるたびに、抜群の安定感で己の力を証明してプロのスカウトの評価を高めた。

身体能力の高さは飛び抜けている。新人の体力テストで垂直跳びの記録は断トツ1位。チームの中でもトップクラスの数値を叩き出した。ただ、身体能力の高さに頼った投球スタイルではないことに奥行きの深さを感じさせる。直球とツーシームは球速帯が同じ140キロ台で打者は軌道を判断しづらい。スライダーも左打者の外角に出し入れできる投球技術でクレバーだ。

鈴木スカウトは「気質は日本人です。自分のことを細かく把握していて、繊細です。自分の考えていることをはっきり伝えるけど、相手の気持ちも考えられる。接する人たちが好印象を抱く魅力があります」と人間性を評価する。その姿は新人入団発表でも垣間見えた。個人の目標を色紙に書く選手が多い中、シンクレア投手が漢字で綴った目標は「日本一複数回」。マイクを持つと、「僕の目標は日本一に複数回なることです。その理由は2つあって、1つ目は勝っているときが1番野球が楽しいからです。2つ目は僕を選んでくれた埼玉西武ライオンズに最高の恩返しをしたいからです。あだ名はジョーって呼んでください」とスタンドに呼びかけ、ファンから大きな拍手が送られた。

「ライオンズだけでなく、球界全体でもなかないないタイプの投手です。本人には『きれいな投げ方でなくていい。フォームも大きな武器だからそのままムチャ振りで投げなさい』と伝えています。スライダーが軸になると思うので、直球の強さを磨いて左打者を絶対抑えるという評価になれば支配下が見えてくると思います」。

“西武のジョー”が大化けする時が楽しみだ。

鈴木スカウトからシンクレア選手へ

「投球の質を上げて力強さがつけば、エスコバー投手(元DeNA)のような救援でフル稼働する投手になれる可能性がある。個性を生かして誰も真似できない投手になってほしいですね」

シンクレア投手 選手名鑑 その他のインタビューはこちら!

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