11月26日に会見を終えた新入団選手たち。来季からライオンズの一員になる彼らのことをファンの皆さまにより知っていただくために、今年も昨年に引き続き担当スカウトインタビューを実施!
第11弾は村田選手!担当である安達スカウトに、直接お話をお伺いしました!
(編集協力:週刊ベースボール)
身長196センチ、体重110キロ。筋肉隆々の肉体には無限の可能性が詰まっている。球を遠くへ飛ばす力は稀有な才能だ。皇學館大出身で初めてNPB入団を勝ち取った村田怜音選手を安達俊也スカウトはこう評する。「パンチ力、飛距離が出る打球を飛ばせるのは大きな魅力です。どちらかというとハードに振るのではなく、力感がなく軽く振っている印象で打球が伸びる。打者のタイプとしては中村剛也選手と重なります。体勢を崩されても打球がフェンスを越える。ライオンズのチームカラーにピッタリの選手だと思います」。
安達スカウトに強烈なインパクトを植え付けたのが、昨年10月に視察した試合だった。明治神宮大会出場校決定戦を兼ねた東海・愛知・北陸三連盟王座決定戦。1回戦・金沢学院大戦で初回にバックスクリーンの横へ着弾するアーチを放った。「スライダーに泳ぎ気味だったんですが、打球がスタンドを越えて。その後も逆風に戻されて右飛に倒れた打席があったのですが、きっちり捉えていました。1年生から試合に出ていて体は大きいなという印象がありましたが、あの試合で成長の跡を強く感じさせられました」。
村田選手は今年の4年春に打撃不振からなかなか抜け出せなかった。ドラフトイヤーで「評価を落とした」という見方があったが、安達スカウトは違った。「調子が悪いと言われる中でも逆方向の右翼に本塁打を打っていた。2ストライクに追い込まれると軽打で安打を打ったり、チーム打撃ができる。良い状態のときばかりではないですから、そのときに何ができるかも重要です。きっちり考えて野球に取り組んでいる姿勢が見えました」。
丸刈り頭で常に背筋を伸ばした姿に、芯の強さを感じさせる。その歩みは異端だ。三重で生まれ育ち、中学時代に軟式野球で全国大会に2度出場。複数の強豪校から誘いが来たが地元の県立相可高に進学した。高校卒業後も関東や関西の強豪大に進学せず、野球では無名だった皇學館大に進学した。「地元の高校、大学を出てプロ野球の世界に入る」。見事に有言実行を果たした。
野武士の雰囲気を漂わせる村田選手が発する言葉には、魂がこもっている。サンクスフェスタで新入団選手が発表された際、「対戦してみたい選手は(ロッテの)佐々木朗希投手です。同世代の顔と言われる選手なので、自分が打ち砕いて2001年世代の顔になりたいです」と力強く宣言した。安達スカウトは「真面目で一生懸命。プロで成功したいという思いが強く伝わってきます。打席に入るルーティンもたくさんありますし、こだわりを持っていろいろやっている。記者会見を見ていると表情が硬かったので堅物そうに見えるけど、緊張していたのでしょう(笑)。明るい性格でハキハキしている。大学のときも得点が入るとベンチで選手たちと大喜びしていましたから。彼には『本塁打を打ったあとのパフォーマンスを考えとけ』と伝えました。個性的なスタイルだし、活躍したら人気が出る選手だと思います」と期待を込める。
プロは厳しい世界だ。大学時代に対戦した投手たちと直球の球威、変化球のキレ、制球力が格段に違う。一軍の舞台で活躍するためには、何度も壁にぶち当たるかもしれない。スラッガーとして期待された選手が花を咲かせるまで時間を要するケースは多い。安達スカウトは「焦らずに長い目で見る必要がある」と強調する。
「打球を遠くへ飛ばすという自分の良さを見失わないことが大事です。コーチの助言を受けながら、自分で考えて修正する能力が必要になってきます。中村剛也選手という最高のお手本が身近にいるので打撃技術を含めてたくさんのことを吸収できるでしょう。自分の中で『これだ』と思えるものをつかんでもらいたい」。
数年後にはライオンズ、球界を代表する和製大砲へ――。佐々木朗希投手を超える「世代の顔」を目指す。
「チャンスに強いホームランバッターに成長して、3年後に30本塁打を打つ打者になってほしいですね」