11月26日に会見を終えた新入団選手たち。来季からライオンズの一員になる彼らのことをファンの皆さまにより知っていただくために、今年も昨年に引き続き担当スカウトインタビューを実施!
第6弾は成田投手!担当である水澤スカウトに、直接お話をお伺いしました!
184センチ、86キロの恵まれた体格にはロマンがぎっしり詰まっている。青森県出身の本格派右腕に、同じくドラフト4位の高卒入団で球界を代表する右腕となった平良海馬を重ね合わせる。水澤英樹スカウトは「順調に育てば、一軍のマウンドに立つ時期は早いと思います」と期待を込める。
目標とする投手は阪神のリリーバーとして活躍した藤川球児投手。直球と分かっていてもバットが空を切る。火の玉ストレートは伝説だ。「藤川さんを超えるストレートを投げたい」と思いを込めるが、成田投手の魅力は最速150キロの快速球だけではない。セールスポイントは「どの球種でも勝負できること」。器用なのだ。2年の春季大会で水澤スカウトが初めて見たときもこのイメージに合致する。
「体が大きいのですが、変化球を上手に投げられるなあと。スライダー、カットボール、カーブをきっちり投げ分けていた。制球も良くて四球で崩れない。直球の球速が上がったら楽しみだなと思って見ていました」
成長段階の高校生は常に一定のパフォーマンスを出せるわけではない。2年夏から3年春は試行錯誤を繰り返していたが、苦しい時期を乗り越えて3年夏の練習試合で投球を確認して驚いた。「こんなに良くなっていたのかと。直球がグッと力強くなりました。直球で押し込めるようになったことで、変化球が生きてくる。レベルが一段階上がった感じがしました」。高校3年間で甲子園出場はかなわなかったが、東北でトップクラスの好投手をドラフト4位で指名に成功した。「ずっと見ていた選手だったので、ライオンズのユニフォームを着てもらいたいという思いはありました。もちろんプロに入ってからがスタートですが、うれしかったですね」と振り返る。
水澤スカウトは北海道・東北地区を担当し、岸孝之投手(現楽天)、菊池雄星投手(現ブルージェイズ)、秋山翔吾選手(現広島)ら名選手の獲得に尽力した。注視するのは投球内容だけではない。成田投手の印象についてこう語る。「2年夏に登板した試合で試合中に足をつったことがあって。マウンドを下りたのですがまた戻って投げていた姿が印象的でした。練習は積んできているでしょうし原因は分かりませんが、動じる素振りを見せないんですよね。青森の県民性ですかね。辛抱強くてハードな練習でも表情に苦しさを出さない。思い出に残る記憶として、淡々としている姿がパッと浮かびました」。冷めているわけでは決してない。逆境で弱みを見せたくない。負けず嫌いなのだ。
プロ意識の高さは私生活からも垣間見える。印象的なエピソードを明かしてくれた。
「ドラフト指名後のメディカルチェック前日の夕食後のことです。僕は甘いものが好きなのでコンビニに行こうと思って、成田に声を掛けたんです。でも、『今日は体を動かしていないので大丈夫です』って。感心させられました。体に摂取するものを気にして自分の軸をしっかり持っていて、断るときにはきっちり断る。大事なことだと思います。高校生だしもうちょっと心が揺らぐ部分もあるかなと思いましたが、安心しました」。
背番号は「41」。現役時代に西武黄金時代のエースとして活躍した渡辺久信GMが付けていた番号を託されたことからも、期待の大きさが伝わってくる。
「まずは直球に磨きをかけて力で押してほしい。目標とする投手に藤川球児投手を挙げていましたが、それぐらいのボールを投げてほしい。変化球も上手に投げられるので、プロの世界でトレーニングを積んで体ができれば、早い時期に一軍のマウンドで投げられるのでは。最初は短いイニングでの投球かもしれないけど、プロでやるからには先発完投を目指してほしい。先発、救援の分業制が確立しているので、完投にこだわるのは今の時代にそぐわないかもしれないですが、マウンドで最後まで投げ抜く投手になってほしいです。」
高卒右腕の未来は明るい。
「僕もそうですが、地方から出てくると、プロに入って『こうしなきゃいけない』と感じる部分がグラウンド内外であります。そのときに今までどおり自分を信じてほしいですね。周りに流されず自分のペースで野球に取り組んで技術を吸収すれば、結果はついてくると思います」