11月26日に会見を終えた新入団選手たち。来季からライオンズの一員になる彼らのことをファンの皆さまにより知っていただくために、今年も昨年に引き続き担当スカウトインタビューを実施!
第3弾は金子選手!入団テストをチェックした秋元ファーム育成ディレクターにお話をお伺いしました!
(編集協力:週刊ベースボール)
数字には表れないプレーが金子選手の魅力だ。昨年に続き行われた入団テスト。金の卵を発掘する場で選手に鋭い視線を送っていた秋元宏作ファーム育成ディレクターは、力強い一打に目を奪われた。午後に行われたシート打撃。金子選手は同僚でもあるBCリーグ埼玉の左腕が投じた真ん中寄りの直球をジャストミート。左打席から放たれた打球は右中間中段まで達する一発となった。「ちょっと驚きましたね。たまたま入った感じのホームランではありませんでした。渡辺(久信)GMやスカウトが見ている前での打撃で普通は緊張するでしょうけど、そんなことを感じさせない。金子君の場合、フィジカル測定での数値は平均的なのですが、大事な舞台でしっかりと結果を出す能力に惹かれました」。
光明学園相模原高から埼玉武蔵ヒートベアーズに入団し、BCリーグ2年目の今季、65試合出場で打率.265、4本塁打、28打点、8盗塁と目立った成績は残していない。だが、西武との練習試合でも水上由伸投手から中前にはじき返す安打を放ち、6月にBCリーグ選抜の一員として出場した日本ハムとの交流戦でも畔柳亨丞投手から本塁打。さらに、独立リーググランドチャンピオンシップの準決勝・徳島戦で本塁打を含む猛打賞をマークして決勝進出に貢献するなど、勝負強さは本物だった。「数字以上に何かを持っているのかな、と。もともと高卒1年目から埼玉でショートとして試合に出ていて、野球センスの高さを感じていました。ただ、打撃は非力。それが2年目は大きな成長が見えました。特にスピードに負けることなく、速球を打ち返せるようになった。まさに入団テストでのシート打撃でのホームランが、それを表していました」。
現役時代は捕手だった秋元ファーム育成ディレクターだが、速球に打ち負けない力強いスイングを持つ打者は捕手目線で非常に厄介だという。「基本的にキャッチャーは速球に振り遅れる打者に対して、あまり恐怖感を抱かないんです。逆に速球をしっかり捉える打者には、うかつに直球を要求することができない。例えばカウントが悪くなったとき、安易に直球を選択するとやられてしまうのではないか、と。そういう意味では『速球に強い』ということは大きな武器になると思います」。
入団テストでは人財開発の担当者がテスト以外での選手の動きをチェックしている。例えば身の回りを整理しているか、コミュニケーションの取り方はしっかりしているか。そういった点も評価の対象となるのだ。秋元ファーム育成ディレクターもベンチで金子選手と少し話をしたという。「イケメンですけど、その割には落ち着いているな、と(笑)。入団交渉などで接したときは緊張から口数も少なく、おとなしい感じでしたが、ゆっくりと丁寧に話をして、あいさつもきちんとできていました。でも、ご家族に聞くと家ではにぎやかだそうです。1日も早くプロで活躍したいという思いを持っているのは、高卒で独立リーグに進んだ時点で間違いない。いろいろ話を聞いても野球に対して非常にどん欲な思いは伝わってきています」。
もちろん、支配下に上がるために課題は多い。内野手だけに守備力向上は必須だ。走塁も磨かなければいけない。しかし、それ以上に魅力的な選手に成長してほしいという願いが秋元ファーム育成ディレクターにはある。「ただただ平均的な選手にはなってほしくありません。ファンの目を惹きつけ、奪うような。ミスをしても下を向かずに、すぐに取り返す。試合終盤のここという場面で突破口を開く安打を放つ。そういった点でキラッと光るものを見せてもらいたいです」。
金子選手が育成から支配下に這い上がり、数字に表れないプレーでベルーナドームをどよめかせる姿を早く見たい。
「内野手にライバルは多いですが、2、3年後には一軍で内野手でのレギュラー争いに加わってもらいたいです」