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2019/07/29 (月)
L-FRIENDS

【早稲田大学・株式会社西武ライオンズ 共同研究 結果報告】- “プロ野球観戦は高齢者の健康に良い影響を及ぼすことを証明“

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早稲田大学 樋口 満 名誉教授
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野球観戦の様子
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本研究の説明会の様子

早稲田大学(スポーツ科学学術院 樋口満名誉教授)と株式会社西武ライオンズは、2016年3月から「プロ野球観戦が高齢者の健康に与える効果」に関する共同研究を行ってまいりました。その結果、このたび、プロ野球観戦が高齢者の健康に良いことが科学的に証明され、本研究成果について論文にまとめ、SAGE出版社の国際学術誌(Gerontology & Geriatric Medicine)ならびに、日本老年医学会の公式国際学術誌(Geriatrics & Gerontology International)に掲載されました。

研究内容ならびに研究方法などの詳細は以下の通りです。

研究の背景

日本は世界的にみてもいち早く超高齢社会に突入しており、現代社会において「健康の維持増進」「社会参加」「安心できる社会づくり」に向けたさまざまな機会を最大限に高め、高齢者の生活の質の向上に取り組むこと(アクティブ・エイジングの推進)への重要性がより一層高まっている。スポーツ観戦は観戦する人々にさまざまな刺激を与えると考えられるが、その健康効果について調査した研究は見当たらない。そこで、早稲田大学と株式会社西武ライオンズが共同でスタジアムにおけるプロ野球観戦が高齢者のアクティブ・エイジングにどのように貢献できるかを検証した。

研究内容

  • (1)1回のプロ野球観戦の効果
    SAGE出版社の国際学術誌:Gerontology & Geriatric Medicine(5頁上段論文)に掲載されました。
  • (2)定期的なプロ野球観戦の効果
    日本老年医学会の公式国際学術誌:Geriatrics & Gerontology International(5頁中段論文)に掲載されました。

【1】 1回のプロ野球観戦の効果

研究参加者

年齢
65才以上
人数
16人(男性8人、女性8人)
条件
特定のプロ野球チームを応援していない人
募集協力
所沢シルバー人材センター

研究方法

方法
質問用紙を用いて、プロ野球観戦が感情や幸福の面においてどのように変化するのかを比較
内容
(1)一般感情尺度(肯定的感情、否定的感情、安静状態)
(2)主観的幸福感
測定回数
3回(平常時、プロ野球観戦(※)直前と直後)
  • メットライフドームで開催されたプロ野球オープン戦2016年3月12日()、3月15日(火)、3月16日(水)のいずれか1試合

研究結果

  • プロ野球観戦直前では、平常時よりも安静状態を示す感情(ゆったりした、平穏なといった感情)が高まった。(表1参照)
  • プロ野球観戦直後には、主観的幸福感が平常時よりも高まった。(表2参照)
グラフ1
表1:一般勘定尺度
グラフ2
表2:主観的幸福尺度

結論

特定のチームを応援する目的がなくても、高齢者が野球場でプロ野球を観戦する場合、観戦前は平常時よりもリラックス感が高まり、観戦後には主観的幸福感が高まることが確認され、高齢者によい感情の変化がみられることが明らかになった。

【2】 定期的なプロ野球観戦の効果

研究参加者

年齢
65才以上
人数
58人(男性32人、女性26人)
条件
要介護の認定を受けていない人
観戦にあたって介助が不要な人
うつ病や認知症の治療を受けていない人
過去3年間に3回以上の競技会場でのスポーツ観戦経験がない人
週3日以上、1日あたり2時間以上定期的に労働やボランティア活動をしていない人
埼玉西武ライオンズのファンクラブ会員でない人
募集協力
所沢市、入間市、狭山市、日高市、飯能市

研究方法

方法
ランダム化比較試験(※)という手法で、質問紙やタブレットを用いて以下の通り研究した
  • 1研究参加者を「観戦群(29人)」と「対照群(29人)」の2つのグループにランダムに分けた
  • 2第一回目測定を実施(2016年3月)
  • 3観戦群:無料観戦券(チケット引換券)を提供し、約2か月間の観戦期間中、自由に観戦してもらった
    対照群:約2か月間の観戦期間中はプロ野球の観戦は禁じられた
  • 4第二回目測定を実施(2016年6月)
  • 5第一回目と第二回目の測定で、観戦群と対照群の健康度がどのように変化したかを比較
  • 信頼性が最も高いとされている比較方法で、薬の効果判定などにも使用される研究方法。
内容
  • 1生活の質に関する調査
  • 2抑うつ症状に関する調査
  • 3主観的幸福感に関する調査
  • 4認知機能の検査
  • 5身体活動量の測定
測定回数
2回

研究結果

プロ野球を観戦しなかった人たち(対照群)と比較して、プロ野球を観戦した人たち(観戦群)は、2か月間のプロ野球観戦後に認知機能(※1)や抑うつ症状(※2)が改善することを確認した。

  • ※1逆ストループ干渉率で評価した実行機能(思考や行動を制御する認知機能)が改善した。
  • ※2抑うつ状態を調査する質問用紙で評価した抑うつ症状が改善した。
グラフ1
図3:認知機能の変化
グラフ2
図4:抑うつ症状の変化
  • 図は各群における変化量(中央値・四分位範囲)を示している。

結論

特定のチームを応援する目的がなくても、高齢者が定期的に球場でプロ野球を観戦することによって、認知機能や抑うつ症状が改善することが確認された。

総合結果

高齢者がスタジアムまで出掛けて行きプロ野球を観戦することは、短期的にはリラックスや主観的幸福感の向上を、長期的には認知機能や抑うつ症状の改善をもたらし、プロ野球が高齢者のアクティブ・エイジングに貢献することが確認された。

論文情報(1回のプロ野球観戦の効果) <論文1>

雑誌名
Gerontology & Geriatric Medicine
論文タイトル
Influence of Watching Professional Baseball on Japanese Elders' Affect and Subjective Happiness
論文著者
川上諒子(早稲田大学)、 澤田亨(早稲田大学)、伊藤智子(早稲田大学)、丸藤祐子(医薬基盤・健康・栄養研究所)、福士朝尋(当時:西武ライオンズ)、藤江亮介(当時:西武ライオンズ)、岡浩一朗 (早稲田大学)、坂本静男 (早稲田大学)、樋口満(早稲田大学)
論文URL

https://doi.org/10.1177/2333721417721401

論文情報(定期的なプロ野球観戦の効果) <論文2>

雑誌名
Geriatrics & Gerontology International
論文タイトル
Effect of Watching Professional Baseball at a Stadium on Health-related Outcomes among Japanese Older Adults: A Randomized Controlled Trial
論文著者
川上諒子(早稲田大学)、 澤田亨(早稲田大学)、伊藤智子(早稲田大学)、丸藤祐子(医薬基盤・健康・栄養研究所)、福士朝尋(当時:西武ライオンズ)、吉野敦(西武ライオンズ)、栗田智史(早稲田大学)、岡浩一朗 (早稲田大学)、坂本静男 (早稲田大学)、樋口満(早稲田大学)
論文URL

https://doi.org/10.1111/ggi.13687

早稲田大学スポーツ科学学術院 樋口満 名誉教授のコメント

「高齢になると、知らず知らずのうちに体力が衰え、外出しようという意欲が低くなり、出不精になってしまい、心身ともに不健康になりがちです。これまで、プロ野球などスポーツはテレビで見るものと思っていた方々でも、せっかく、プロ野球のゲームが行われているのですから、ぜひ生のスポーツを直に観戦してほしいと思います。スポーツはテレビで見るのと、生で直に見るのとでは大違いで、生のスポーツ観戦は、楽しくて、からだも心もリフレッシュできるはずです。
しかし、誰もがそう思っていることも、これまで科学的に実証されてきませんでした。スポーツ科学の早稲田大学と埼玉西武ライオンズ、そして所沢市をはじめ入間市、日高市、狭山市、飯能市の近隣自治体が共同して行った今回の調査研究は、高齢者の方々にとって、スポーツ観戦のもつ健康効果をはじめて実証したという点で、画期的だと思います。今回の研究成果を踏まえて、今後、このような取り組みが積極的に推進されることを、切に願っています。」

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