早稲田大学(スポーツ科学学術院 樋口満名誉教授)と株式会社西武ライオンズは、2016年3月から「プロ野球観戦が高齢者の健康に与える効果」に関する共同研究を行ってまいりました。その結果、このたび、プロ野球観戦が高齢者の健康に良いことが科学的に証明され、本研究成果について論文にまとめ、SAGE出版社の国際学術誌(Gerontology & Geriatric Medicine)ならびに、日本老年医学会の公式国際学術誌(Geriatrics & Gerontology International)に掲載されました。
研究内容ならびに研究方法などの詳細は以下の通りです。
日本は世界的にみてもいち早く超高齢社会に突入しており、現代社会において「健康の維持増進」「社会参加」「安心できる社会づくり」に向けたさまざまな機会を最大限に高め、高齢者の生活の質の向上に取り組むこと(アクティブ・エイジングの推進)への重要性がより一層高まっている。スポーツ観戦は観戦する人々にさまざまな刺激を与えると考えられるが、その健康効果について調査した研究は見当たらない。そこで、早稲田大学と株式会社西武ライオンズが共同でスタジアムにおけるプロ野球観戦が高齢者のアクティブ・エイジングにどのように貢献できるかを検証した。
特定のチームを応援する目的がなくても、高齢者が野球場でプロ野球を観戦する場合、観戦前は平常時よりもリラックス感が高まり、観戦後には主観的幸福感が高まることが確認され、高齢者によい感情の変化がみられることが明らかになった。
プロ野球を観戦しなかった人たち(対照群)と比較して、プロ野球を観戦した人たち(観戦群)は、2か月間のプロ野球観戦後に認知機能(※1)や抑うつ症状(※2)が改善することを確認した。
特定のチームを応援する目的がなくても、高齢者が定期的に球場でプロ野球を観戦することによって、認知機能や抑うつ症状が改善することが確認された。
高齢者がスタジアムまで出掛けて行きプロ野球を観戦することは、短期的にはリラックスや主観的幸福感の向上を、長期的には認知機能や抑うつ症状の改善をもたらし、プロ野球が高齢者のアクティブ・エイジングに貢献することが確認された。
「高齢になると、知らず知らずのうちに体力が衰え、外出しようという意欲が低くなり、出不精になってしまい、心身ともに不健康になりがちです。これまで、プロ野球などスポーツはテレビで見るものと思っていた方々でも、せっかく、プロ野球のゲームが行われているのですから、ぜひ生のスポーツを直に観戦してほしいと思います。スポーツはテレビで見るのと、生で直に見るのとでは大違いで、生のスポーツ観戦は、楽しくて、からだも心もリフレッシュできるはずです。
しかし、誰もがそう思っていることも、これまで科学的に実証されてきませんでした。スポーツ科学の早稲田大学と埼玉西武ライオンズ、そして所沢市をはじめ入間市、日高市、狭山市、飯能市の近隣自治体が共同して行った今回の調査研究は、高齢者の方々にとって、スポーツ観戦のもつ健康効果をはじめて実証したという点で、画期的だと思います。今回の研究成果を踏まえて、今後、このような取り組みが積極的に推進されることを、切に願っています。」
TEL(0570)01-1950
一軍公式戦非開催日(平日10時~18時)