株式会社西武ライオンズと早稲田大学(スポーツ科学学術院 樋口満教授)は、「野球観戦が高齢者の健康に与える効果」に関する共同研究を2016年3月のオープン戦から行っております。
全世界における60歳以上の高齢者人口は、2050年には22%に達する見込みで、2015年の12%から約35年間でおおよそ2倍にまで増加することが予測されています(国連調べ)。日本は世界的にみてもいち早く高齢社会に突入しており、現代社会において健康の維持増進・社会参加・安心できる社会づくりに向けた様々な機会を最大限に高め、高齢者の生活の質の向上に取り組むこと(アクティブ・エイジングの推進)への重要性がより一層高まっています。プロスポーツチームが高齢者のアクティブ・エイジングにどのように貢献できるかを検証することを目的とし、この共同研究に取り組んでおります。
この研究により、途中経過ではありますが、この度下記のような効果が期待できることが分かりました。なお、研究成果の正式な結果発表は2017年夏以降を予定しております。
野球場でのプロ野球観戦は高齢者の健康になんらかの影響を及ぼす可能性があると考えられる。しかしながら、このことについて調査した研究はほとんど例がない。そこで、野球場でのプロ野球観戦が高齢者の健康にどのような影響を及ぼすのかを調査することを目的に、2016年シーズンから共同研究を開始している。
所沢市、入間市、日高市、狭山市、飯能市に在住する60才以上の男女約60人
西武プリンスドーム(現:メットライフドーム)で開催されるプロ野球を約2ヶ月間自由に観戦
プロ野球観戦期間の前後において健康指標がどのように変化したかを比較検討
[主な評価項目:認知機能、抑うつ度、生活の質(QOL)、主観的幸福感、身体活動量など]
高齢者が野球場まで出かけて行ってプロ野球を観戦することは、同居者以外の他者と交流する頻度や身体活動量を増加させると考えられる。また、野球観戦による試合展開の把握や応援が観戦者の認知機能の低下を防ぐ可能性も考えられる。さらに、野球場でのプロ野球観戦は他の観戦者と喜びや悲しみ、感動を共有し、観戦者の人生を豊かにする可能性がある。
「年配の観戦者も多く、安心した気持ちになり良かった。テレビで見る時とは異なり臨場感があり楽しかった」(入間市在住60代女性)
「はじめての経験で最初はとまどったが、チアリーダーの旗ふりと踊り、選手の登場でボールを客席に投げるなどの風景が楽しく、必ずゲームが始まる前に行った。野球場に行く事が楽しくよい経験になった」(所沢市在住70代女性)
「メリハリのある生活習慣ができた」(入間市在住70代男性)
「野球観戦に行く日は朝から楽しみでした。選手が打席に立った時は自分が打つ気持にもなりとても楽しい1日でした」(所沢市在住70代女性)
「観戦している時は何も考えず、楽しくファンの人達の応援の熱心な気持が伝わってくるようで、心地よかった。参加できて良かったと思いました。」(所沢市在住70代女性)